はるきげにあ的煩悩生活
鞠絵ちゃん、誕生日おめでとう!
「桃太郎 VS Twelve Sisters!」(その3)
「それをアニキに相談しようと思ってさ,へへ~。ねえ,アニキだったらどっちが楽・・・じゃなかった,どっちがいいと思う?」

鈴凛が聞いてきた。

「あのなあ,ちょっとは自分で考えろ」

半分呆れた口調で航が言う。

「そこを何とか,お願い!アニキ様」

「・・・テストかな」

この回答は,二人にとって意外だったようだ。

「え,どうして?」

「どうしてですの?」

二人とも目を丸くしている。

「テストは問題の予想だけで済むけど,レポートは論理的に書かないとダメだからね」

「え~,そうかなあ。出る問題なんてわかんないよ」

「んなことない。定期試験なんて,授業中に先生が繰り返し言ってた箇所を覚えりゃいいだけだ。簡単だろ」

「むう~,姫には難しいですの・・・」

「他の科目だと出来てるだろ。苦手意識をなくすんだな」

「でもさあ・・・」

鈴凛が不服そうに言う。

「せっかくのゴールデンウィークが,ぜーんぶ試験勉強で消えちゃうんだよ~。かなり悲しいよね~」

「仕方ないだろ。自業自得だ」

「レポートだったら,最初の1日で仕上げちゃえばあとは遊べるよね~」

「ですの~」

「・・・さてはお前ら」

航があることに気がついた。

「俺にそのレポートを手伝わせる気だな!」

「ピンポーン!正解。でも手伝ってなんて,そんなのアニキに悪いからさ」

鈴凛がニッと笑う。

「代わりに書いてほしいな~,なんて。アニキは古典と日本史が得意でしょ,へへ~。うん,我ながらいいアイデア!」

「なお悪いわ!ダメだダ・メ・!」

「え~,ダメなの~?」

「何と言ってもダメなものはダメ。自分で書きなさい」

「・・・だってさ,白雪ちゃん。どーしよー」

「困りましたの・・・姫は,にいさまがぜーったい手伝ってくれるって信じてましたのに・・・」

白雪が困った顔をする。

「テストもレポートも,姫はゴールデンウィークを全部使っても出来る自信がないですの・・・」

「うーん,そんなことを言われてもなあ・・・」

航が頭をかく。

「鈴凛はともかくとして,白雪を手伝ってやりたいのは山々なんだけど,もうゴールデンウィークの予定は入れちゃったんだよなあ・・・」

「私はともかくってどーゆーことよ!でもアニキの予定って何だっけ?」

鈴凛が尋ねる。

「鞠絵のところまで泊まりで行ってくる。お前達が来るまでその準備をしていたんだよ」

「え~,アニキだけ~?そんなのず~る~い~」

「にいさまぁ,姫はうらやましいですの」

「あのな。鞠絵とは前から約束してたし,お前らも知ってたろ」

航が反論した。

「そりゃそうだけどさぁ。カワイイ妹達が休み中にもかかわらず,え~んえ~んって涙を流しながら勉強するっていうのに,一人だけ遊びに行くなんて~」

「だからそれは自業自得だろうが・・・まぁ,がんばりなさい。遠く療養所の空から応援してるから」

「え~,手伝ってくれないのぉ~」

「勉強というのは一人ですることに意義があるんだよ」

その時,テーブルの上に置いてあった航の携帯電話が鳴った。

着メロはドビュッシーの亜麻色の髪の乙女。療養所の鞠絵からだ。

航は慌てて携帯を手にとる。

「兄上様,鞠絵です。おはようございます」

「おはよう。どうしたの,こんなに朝早く。もしかして体調が悪くなった?」

「いいえ,私は大丈夫ですよ,兄上様。お心遣いありがとうございます。明日,兄上様がいらっしゃるのを楽しみにお待ちしております」

「そっか,よかった・・・僕も楽しみだよ。もうすぐ会えるから待っててね」

「はい,兄上様。ミカエルも首を長くしてお待ちしていますよ。ところで兄上様・・・」

鞠絵が尋ねる。

「その・・・そちらに鈴凛ちゃんと白雪ちゃんがいらっしゃいますか?」

「何で分かったの?いるけど・・・」

「明日からですが,よろしかったらお二人もご一緒にと思いまして」

「え,いいの?」

「はい。にぎやかな方が私も楽しいです」

「まあ,鞠絵がそういうなら・・・じゃあ二人にそう言っておくよ。また明日電話するね」

「はい,兄上様。また明日」

「・・・」

電話を切った後,航は少し考え込んでいた。

「アニキ,さっきの電話,鞠絵ちゃんから?」

「ああ」

「なんて?」

「明日から二人も一緒にどうぞ,って」

「え,ホント!やった~,これでレポートができるね!」

「ホントですの?姫,うれしいですの!」

「・・・時に鈴凛」

「ン,何?アニキ」

「ちょっとこっちへ来い」

「な,何かな・・・?」

鈴凛が少し怯えた様子で近づく。

「お前,鞠絵に今回のことを話したろ」

「な,何のことでしょうか・・・?私にはさっぱり・・・」

航は鈴凛のこめかみを両方の拳でグリグリする。

「お・ま・え・なあ~,タイミングがよすぎるんだよ。さてはあらかじめ鞠絵にOKをもらってたな~」

「痛い痛いっ,ゴメッ,ゴメンてばー!」

「こういうことは準備がいいのに,何で試験ができないかなあ~」

航のグリグリ攻撃は続く。

「人間向き不向きがあるんだってばさ~,ごめんなさ~い!」

ようやく鈴凛が解放された。

「いたたたた・・・」

「まったくもう・・・少しは反省しろ」

「アニキ・・・ごめん・・・」

鈴凛が少ししょげた顔で謝る。

「分かればよろしい。・・・まあ,鞠絵もそういってるから,明日はみんなで行こうか」

鈴凛の顔が,ぱぁっと明るくなる。

「え,ホントにいいの?」

「いいよ。朝一番の電車で行くから,荷物を持って駅に集合だな。白雪もいいかい?」

「・・・はいですの」

「ん,どうかした?」

航が尋ねる。

「姫,鈴凛ちゃんがちょっとうらやましいですの・・・」

「へ?」

「姫もにいさまにグリグリされたいですの!」

「えーと・・・」

航は指で頬をポリポリとかいていたが,おもむろに右手の中指で白雪の額を軽くはじいた。

「!」

白雪が額を手で押さえる。

「白雪は共犯ということでデコピンだな。これでいい?」

「はい,ごめんなさいですの!でも,姫うれしいですの!」

白雪がニッコリと笑う。

「よかったね,白雪ちゃん」

「はいですの!」

「鈴凛,お前がいうなお前が・・・」

「へへへ~。でもありがとね,アニキ」

「ったく・・・ということで,二人とも明日の朝は遅れるなよ。寝過ごしたら置いていくからな」

「「は~い」」

二人の声が重なる。

「勉強道具を忘れるなよ」

「「え~」」

「お前ら向こうに何しに行く気だ!」

「あははは,冗談,じょ~だん。じゃあ,一度家に帰って準備するね,アニキ」

「姫も帰って準備するですの」

「ああ,二人とも車に気をつけてな」

「「は~い」」

「じゃあ,また明日。アニキ」

「じゃあな」

「にいさま,姫も失礼するですの」

「うん,サンドイッチごちそうさま」

「明日も準備しておくですの!楽しみにしていてね,にいさま」

「あんまり無理するなよ,じゃあね」

笑って二人を送り出す。

しかし,航は知らなかった。

ドアを閉めた後,二人が

「やった~。作戦成功!」

といってハイタッチをしていたことを。

どうも,妹達の方が一枚上手のようである。

※※※

ということで第3話です。
まだ桃太郎は出てきませんね~。
鞠絵ちゃんの療養所にもたどりついていませんし・・・(苦笑)


日がかわってしまいましたが,5月5日は私にとっての音楽神,岡崎律子さんの命日でした。

世間一般では「こどもの日」なわけですが・・・

「for RITZ」は,何度聞いても涙がでてきます。

「RePure~12人のエンディング」も,妹達の心情を描ききっているという点で,数あるシスプリのCDの中でも最高の出来だと思います。

改めて,岡崎さんのご冥福をお祈りいたします・・・


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