はるきげにあ的煩悩生活
鞠絵ちゃん、誕生日おめでとう!
「桃太郎 VS Twelve Sisters!」(その5)
「そんなに大きな声をだすなって。桃太郎を知らんのか?」

「知らないわけないでしょ!幼稚園の頃先生に読んでもらったんだから」

「昔々あるところに,おじいさんとおばあさんが住んでいました・・・で始まるですの」

「そのとおり。ちなみにだ」

航は一度言葉を切る。

「あれ,一部実話だから」

「え,マジで!」

「ホントですの?」

「うん。歴史的事実を反映している部分もある」

二人とも半信半疑の様子だ。

「それは知りませんでしたの・・・」

「私も・・・じゃあ,鬼ヶ島で宝の山がザックザクというのもホントだったんだ・・・」

「食いつくのはそっちか・・・まあ,『宝』は金銀小判とは限らんが」

「え?」

「詳しくは,後で鞠絵と一緒の時に話すとして,それまでは自分の頭の中で,気になることをピックアップしておくんだな」

「気になることって・・・何?」

「にいさま,桃太郎は桃太郎でないですの?」

「それを自分で考えるんだよ」

「う~ん」

二人して腕を組んで考え込む。

「難しいなあ・・・」

「難しいですの・・・ところでにいさま,コーヒーいかがですの?」

「お,ありがとう。いただこうかな。で,何が難しいんだ?」

コーヒーを片手に航が尋ねた。

「んーと,気になることなんて無いですの」

「白雪ちゃん,私にもコーヒーちょーだい」

と,鈴凛も手を伸ばす。

「あ,そうそう,アニキ,私も同じ意見。さっき白雪ちゃんもいってたけど,桃太郎は桃太郎でしょ?」

「ほほう・・・つまり疑問点は無い,ということかな?」

少し愉快そうに航がいう。

「そーゆーわけじゃないけどさ」

鈴凛が身振り手振りをまじえながら答える。

「桃太郎ってさ,桃から生まれた桃太郎が,犬猿雉を黍団子で従えて,鬼ヶ島の鬼をやっつけて,お宝をもらって帰る,って話でしょ?」

「うん。見事な要約だな」

「へへーっ,私ってスゴイ?で,ハッピーエンドでしょ。それでいいんじゃないの?」

「ですの」

「誰にとってのハッピーエンドかな?」

「?」

「アニキ,どういうこと?」

「それは着いてからのお楽しみということで」

航が小さくあくびをした。

「ところで,まだ時間はあるし,今朝は早かったから,お前達少し寝たらどうだ。そんなテンションじゃ,着いてからしんどいぞ」

「アニキこそどうぞお先に~」

「お休みですの~」

二人が小さく手を振る。

「ふーん?じゃあ寝るぞ・・・あ,そうだ,鈴凛。念のためいっとくが,寝顔を撮ったりするなよ」

「ちぇっ,バレたか」

「お前の考えてることなんか丸分かりだよ」

そういって航は目を閉じた。

「・・・アニキ,寝ちゃったかな?」

少ししてから,鈴凛が航の顔に自分の顔を近づける。

「ふふ,寝てる寝てる。カワイイね・が・お」

顔を離してから,鈴凛は自分の携帯電話を白雪に手渡した。

「じゃあ,白雪ちゃん。アニキの寝顔を撮ってくれる?」

「え,そんなことしたらにいさまに怒られますの・・・」

「大丈夫大丈夫。さっきアニキは『鈴凛,寝顔は撮るなよ』っていったけど,『白雪ちゃんは撮っちゃダメ』とはいってないも~ん」

「でもへりくつみたいですの・・・」

と,まだ白雪は迷っているようだったが,

「撮ったデータはみんなに送るよ~」

との鈴凛の悪魔の誘いに,

「撮るですの」

とあっけなく陥落し,シャッター音が航に聞こえないよう注意しながら,バシャバシャと撮影する。

「これでアニキをゆすれるね~。じゃさっそくみんなに送ろうかな」

「姫の宝物にするですの」

・・・そんなことはつゆ知らず,航は眠りこけていた。



そうこうしているうちに,航達の乗った電車は,終点の高原駅に到着した。

ここから鞠絵のいる療養所まで,徒歩で約30分といったところだ。

航達が高原駅の改札を出ると,見覚えのある麦わら帽子を,目深にかぶった少女が立っていた。

傍らには,ゴールデンリトリバーがしっぽを振っている。

「え・・・と,鞠絵?」

航が声をかけた。少女が顔を上げてニコリと笑う。

「ようこそ,兄上様。お待ちしておりました」

「迎えに来てくれたの?体調は大丈夫?」

・・・との航の言葉は,途中で鈴凛と白雪の声でかき消された。

「あ~~~~っ,鞠絵ちゃんだ~~~~!元気だった~~~~?」

「ミカエルも久しぶりですの!」

鞠絵達に走り寄る二人に,航が突き飛ばされる。

「うわっ!」

思わずよろけて,尻もちをついてしまう。

「あっ,アニキ~,ゴメンゴメン」

「にいさま,ごめんなさいですの」

「あのな・・・」

航が立ち上がろうとすると,すっと手がさしのべられる。

「兄上様,大丈夫ですか?」

鞠絵だった。

「ありがと」

鞠絵の手を握って立ち上がる。

「元気だった?」

航は手を握ったまま,鞠絵の顔をのぞき込む。

「は,はい。おかげさまで・・・」

鞠絵は赤面してうつむく。

「兄上様・・・そんな間近だと恥ずかしいです・・・」

「あ,ごめんごめん」

「あ~,アニキ~,いやらしいんだ~」

「にいさま,えっちですの~」

二人に冷やかされて,鞠絵はあわてて手を離す。

「兄上様,ごめんなさい」

航がやや恨めしげな口調でいった。

「・・・お前ら俺のことをどう思ってるんだ?」

「ステキなアニキ!でもちょっとスケベ,ふふっ」

鈴凛がにまっと笑う。

「で~すの!」

白雪も笑う。

鞠絵も下を向いているが,肩を震わせている。笑いをこらえているのだろう。

「お前らなあ,鞠絵までもう・・・」

航は頭をかいた。

「さて,そろそろ療養所に行こうか。鞠絵,歩いて大丈夫?」

「はい」

「おーい,お前らも行くぞ」

ミカエルとじゃれていた二人にも声をかける。

「「はーい」」



道すがら,妹達は近況報告で盛り上がっていた。

「・・・でさあ,アニキったら鞠絵ちゃんのいる療養所にまで来て,勉強しようっていうんだよ~。せっかく来たんだから,思いっきり羽を伸ばしたいよね~」

「そうか。じゃあレポートは鈴凛一人でがんばってくれ」

「わ~~~~,ウソですウ・ソ。アニキ,手伝ってね!」

「でも,こんなに空気がいいところだと,新しいレシピを思いつきそうですのに・・・」

「・・・まあ,早く終わったら自由にしていいよ」

「やったー!」

「終わればだぞ」

「はいですの!」

鞠絵が航に尋ねた。

「あの,兄上様。今日はこれからどうされますか?」

「そうだなあ・・・まず部屋に荷物を置いて,昼ごはんを食べてから勉強開始ってところかな。そういえば鞠絵,予習はちゃんとやったかな?」

「はい,調べておきました」

「よくできました」

そういって航は鞠絵の頭を軽くなでた。

嬉しそうに鞠絵が微笑む。

「あ~,鞠絵ちゃんいいな~」

「お前らもちょっとは見習え」

「私も,『鈴凛はいつもかわいいよ』って,頭をナデナデしてくれたらやる気が出るのになあ~」

「徹夜で勉強するならしてあげよう」

航が返す。

「ううう・・・遠慮しときます」

「姫もナデナデしてほしいですけど,徹夜は無理ですの・・・」

二人がしょげた。

「ま,遊びたかったら今日これから頑張るんだな。早く終わればそれだけ時間ができるんだから」

航は軽く笑いながらいうと,鞠絵の方に振り向いた。

「昼ごはんはテラスで食べようか?」

「さんせ~!」

「賛成ですの!」

「お前ら,騒ぐなよ」

「そんなの分かってるって~。鞠絵ちゃん,ミカエルも一緒に!」

「はい」

「ワン!」

「・・・大丈夫かな」

航の予想どおり,しゃべるか食べるか,ともかく口を動かしてばかりの鈴凛と白雪を相手に,昼食時は大騒ぎとなった。



なんとか食事を終えて,食後のコーヒーを飲みながら,航が鞠絵に尋ねた。

「さて,どこで勉強するかなあ。天気もいいし,外の方が気持ちがいいね。どこかない?」

「・・・そうですね。ちょっと歩いたところに,あずまやがありますよ」

「お,そりゃいい。そこにしようか」

「アニキ~,ここのご飯おいしいね~。でももう食べられないよ~」

「姫もですの~」

「お前ら食べ過ぎだ!もうちょっとしたら勉強を開始するぞ」

「食後の休憩は~?」

「勉強の後!」

「ふえ~い」

「3時のおやつには,紅茶をご用意しますね。みんなでがんばりましょう」

「はいですの!」

「はーい!」

「俺の時と返事が違うぞ・・・」

航がぼやく。鞠絵がクスリと笑って立ち上がる。

「あちらです。ご案内しますね」


(つづく)

※※※

すいません,一日空いてしまいました。

昨日は仕事がちょっと忙しくて,仕事中に文章のネタを考えることが難しかったんです~。

↑上記の文章は人間としてどこかが間違っています。その点を指摘しなさい(5点)


それはさておき,買ってしまいました。

白閣下降臨!





何と見目麗しゅう・・・

え~と,鞠絵ちゃんにはナイショにしといてください(笑)
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