はるきげにあ的煩悩生活
鞠絵ちゃん、誕生日おめでとう!
「桃太郎 VS Twelve Sisters!」(その7)
(その2 おじいさんとおばあさんと楽しいお家)

「次に,おじいさんとおばあさんについて考えてみようか。まず,この二人はどこに住んでいたのか?」

「ん~と,山のふもとで川の近くじゃないかな・・・」

航の問いかけに鈴凛が答えた。

「ふむ,その理由は?」

「おじいさんは山へ芝刈りに,おばあさんは川で洗濯に・・・ってありますの」

次は白雪が答える。

「なるほど。じゃあ,どうやってこの二人は生活してたのだろう?」

続いて航が質問する。

「・・・アニキ,おじいさんとおばあさんの仕事って関係あるの?」

「この後に関係してくるんだよ。さて,どうかな。鞠絵?」

「はい。おじいさんは山で薪を拾って町に売りに行っていた,またおばあさんは洗濯屋さんをしていた,と考えることができます。二人には子どもがいませんので,年をとってからの農業はきつかったかもしれませんし,住んでいる場所が農業に適さなかったのかもしれません。ともかく,これで現金収入があるので,米などを買って生活していたと考えられます」

「ありがとう。つまり二人は,村から少し離れた場所に住んでいた可能性が高い,ということだな」

「はい。桃太郎には村人が登場しませんので・・・ただし,これは話の筋に関係しないからかもしれません」

「でもさ,二人が川沿いに住んでいたから,この後桃太郎との衝撃的な出会いにつながるってわけだね」

「そういうこと」

「どうして川沿いには,人があまり住まなかったですの?」

白雪が首をかしげる。

「全く住んでいなかったというわけじゃないけど,昔はちょっと雨が降っただけですぐに川が氾濫したからね。危なすぎるよ」

「にいさま,じゃあなぜ,おじいさんとおばあさんは,そういうところに住んでたんですの?」

「うーん,確かに。そうだなあ・・・そこまでは考えてなかったなあ・・・」

航が言葉に詰まってうつむいた。

「白雪ちゃん,それはきっとさ,川に河童がいたからだよ!村人は河童に襲われるがいやだったんだね。アハハ」

鈴凛が軽くいった言葉に,航が顔を上げる。

「!」

「アニキ,どうかした?」

鈴凛の方が驚く。

「そういう考えもあるか・・・なるほど・・・でもまだ推測の域を出ないな・・・」

「兄上様?」

鞠絵も不思議そうに航の方を見た。

「あ,ごめんごめん。ちょっと考え事をしてた。鈴凛,いいヒントになったよ」

「え・・・うん。何が何だがわかんないんだけど?」

「河童の話はまた別の機会にしよう。これはこれで色々とあるから」

「そうなの?」

「そうなんだよ。語り出すと一晩どころじゃ済まないから」

「じゃあ,またレポートのネタができるね!」

「あのな・・・とりあえず,おじいさんとおばあさんについては,ここまでにしよう」

「はーい」

(その3 百鬼夜行)

「さて,ここで問題です。この質問は,桃太郎という話の中で非常に重要なポイントとなってます。いいかな?」

航が三人を見回した。

「おじいさんとおばあさんは,鬼の直接の被害者でしょうか?」

「え・・・なんですの?」

「は・・・どういうこと?」

「え・・・と・・・どうなんでしょう?」

三人とも,頭から?マークを出している。

「鞠絵もここまでは思いつかなかったかな?」

航が少し面白そうな表情をしながら,鞠絵に尋ねる。

「はい・・・鬼については調べましたが・・・」

鈴凛が問いかける。

「で,アニキ,答えは?」

航があっさりと答えた。

「Noだよ」

「!」

三人とも目を丸くしている。

「話の筋をもう一度思い出してごらん。おじいさんは,鬼と会った可能性が低い,というか多分会ったことはない。『鬼』を知っていても,あくまでも噂のレベルだね」

「何でそう言い切れるの?」

鈴凛が不思議そうにいう。

「おじいさんの仕事だよ」

「?」

「鬼達によって,家々に火がつけられて財産を奪われて人々が逃げまどう中,おじいさんは,『今日の晩ご飯を作るのに,薪はいりませんかー』と薪を売り歩いていたのか?」

「・・・あ,そっか」

鈴凛が納得する。

「それはシュールすぎますの・・・」

白雪も納得したようだ。

「そうですね・・・それにおばあさんも,町から避難する人たちが船や徒歩で逃げている横で,じゃぶじゃぶと悠長に洗濯をしていたとは考えられませんね」

鞠絵が微笑みながら補足する。

「確かに・・・」

「つまり,『鬼』による被害者はいないということだね。少なくともおじいさんとおばあさんの近くには。そして,桃太郎の周りにも」

「えええ,それじゃあ桃太郎の前提が崩れちゃうよ!」

「ですの!」

「どんな前提かな?」

航は,答えを知っているがあえて尋ねるという口調でいった。

「鬼がひどいすることをするから,桃太郎が退治するっていうさ・・・」

航はさらりといった。

「鬼は悪くないんだから当然だな」

「・・・え?」

鈴凛と白雪はあぜんとしている。

鞠絵はこのことを予想していたのか,微笑んだままである。

「じゃあ『鬼』の存在って・・・なんなの,アニキ?」

「それも後で検討することとして,先に重要な脇役を見ようか」

「もー,じらさないでほしいなあ」

「こういうのには順序っていうのがあるんだよ」

航がなだめるようにいった。

(その4 犬,猿,雉って三銃士?)

「次に桃太郎の従者,犬・猿・雉について考えようか。まず,動物はしゃべらない」

ワン!

ミカエルが吠えた。抗議しているようだ。

「・・・訂正しよう。動物は人間の言葉を使ってコミュニケーションをとらない」

「何か言葉が難しいですの」

「オウムやインコは人間の言葉を真似することができますからね」

鞠絵がフォローする。

「なるほどですの・・・」

「じゃあさ,犬・猿・雉って人間だったってこと?」

「そういうことかな。特殊な能力を持った人間という可能性もあるんだけど」

「犬のように鼻が利くとか,猿のように木登りがうまいとか,雉・・・は何だろう?ハンググライダーでも使わない限り,空は飛べないよね・・・」

鈴凛が一人で悩んでいる。

「まあ,これにもいろいろと説があるんだけど。三者に共通しているのは,『もともと桃太郎の家族ではない』ということだね。鬼ヶ島に行くまでの中途採用組だ」

「なんか,サラリーマンの転職みたいだよ」

「そうですね,ふふ」

「それ,半分以上正解」

航が苦笑する。

「ええ!!」

「サラリーマンにとっての給料は現金,じゃあ犬・猿・雉にとっての給料は?」

「えーと・・・黍団子ですの!」

「ということで,次は黍団子についてかな」

(その5 魔法の団子,その名は黍団子)

「そもそも,日本の昔話で黍団子はあまり出てこないよね」

「そうですね・・・どちらかというと,おむすびのほうが多いでしょうか?」

鞠絵が同意する。

「猿蟹合戦とかおむすびころりんだよね」

鈴凛が例を挙げた。

「つまり,桃太郎にわざわざ黍団子がでてくるということは,それに何らかの意味があると考えられるんだ。江戸時代には,ある神社の名物に黍団子っていうのがあったらしいよ」

「へえ,どこなんですの?」

「岡山県の吉備津神社。ちなみに岡山県は,かつて吉備の国と呼ばれていたんだ」

「え!じゃあ”黍”団子は”吉備”団子ってこと?」

「そういうこと。今ではフツーに吉備団子としておみやげで売ってるけど」

「しかも,岡山県は,桃太郎発祥の地として一番有名なんです」

鞠絵が説明を追加する。

「それってさ,アニキが最初にいってた『桃太郎は歴史的事実を反映している』ってことにつながるの!」

「すごいですの!」

鈴凛と白雪が興奮している。しかし,鞠絵は冷静に航に問いかけた。

「では兄上様は,吉備団子を実際はどういったものだったとお考えですか?お菓子・・・ではないですよね」

「もちろんだよ。黍=吉備で,団子=おいしいものとするなら,黍団子が意味するのは,そのものズバリ『吉備の国の利権』もしくは『支配権』ということだな。途中で桃太郎は黍団子を食べていないのに,犬・猿・雉にだけ分け与えているというのも,これで説明が付くし」

鞠絵が少し悲しげな目をした。

「・・・やはり兄上様も,犬・猿・雉は,桃太郎が提示した吉備の国での利権につられて,鬼退治に加わったとお考えですね」

「うん。それ以外に考えられないね」

それを聞いて,鈴凛と白雪が戸惑った表情を浮かべる。

「そんな・・・どっちが悪役なんだよ」

「ですの・・・」

(つづく)

※※※

ということで第7話です。

あああ,春歌ちゃんの誕生日までには終わらせるつもりだったのに~

<コメントレスです>

ゆたんぽさん,いつもありがとうございます。

最初この話は,航と鞠絵ちゃんだけで書こうかな~と考えていたのですが,「他の妹達を混ぜたらどうなるんだろう・・・」とふと思いついて,やってみたらこんなカオス状態に(笑)

航と鈴凛の会話は,ボケとツッコミのかけあいでこんなことに・・・

あと,鞠絵ちゃんはこの後にたっぷり出てきます(予定です・・・)



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